全国に1,200店舗以上を展開するホームセンター、コメリ。
最大の特徴は「ハード&グリーン」「パワー」「PRO」といった複数業態を使い分ける出店戦略にあります。
単純な店舗数だけを見ると地方に強いチェーンですが、業態ごとに分解すると、その戦略はさらに明確になります。本記事では、都道府県別の店舗数に加え、業態別の構造からコメリの出店戦略を読み解きます。
コメリ 都道府県別・業態別店舗一覧
コメリの最大の特徴は、単一業態ではなく複数フォーマットで全国をカバーしている点です。
1. 北海道・東北地方
| 都道府県 | パワー | H&G | アテーナ | PRO | 合計 |
| 北海道 | 12 | 14 | 0 | 0 | 26 |
| 青森県 | 3 | 18 | 0 | 0 | 21 |
| 岩手県 | 3 | 35 | 0 | 2 | 40 |
| 宮城県 | 1 | 35 | 0 | 0 | 36 |
| 秋田県 | 7 | 32 | 0 | 1 | 40 |
| 山形県 | 4 | 20 | 0 | 3 | 27 |
| 福島県 | 3 | 49 | 0 | 0 | 52 |
2. 関東・北陸地方
| 都道府県 | パワー | H&G | アテーナ | PRO | 合計 |
| 茨城県 | 6 | 40 | 0 | 0 | 46 |
| 栃木県 | 3 | 36 | 0 | 0 | 39 |
| 群馬県 | 1 | 39 | 0 | 0 | 40 |
| 埼玉県 | 0 | 34 | 0 | 1 | 35 |
| 千葉県 | 5 | 46 | 0 | 0 | 51 |
| 東京都 | 0 | 10 | 0 | 0 | 10 |
| 神奈川県 | 0 | 8 | 0 | 0 | 8 |
| 富山県 | 4 | 20 | 0 | 2 | 26 |
| 石川県 | 2 | 17 | 0 | 1 | 20 |
| 福井県 | 2 | 18 | 0 | 1 | 21 |
3. 東海・甲信越地方
| 都道府県 | パワー | H&G | アテーナ | PRO | 合計 |
| 新潟県 | 14 | 60 | 2 | 3 | 79 |
| 山梨県 | 0 | 19 | 0 | 1 | 20 |
| 長野県 | 3 | 53 | 0 | 1 | 57 |
| 岐阜県 | 0 | 39 | 0 | 0 | 39 |
| 静岡県 | 1 | 22 | 0 | 0 | 23 |
| 愛知県 | 2 | 8 | 0 | 0 | 10 |
4. 近畿・中国・四国地方
| 都道府県 | パワー | H&G | アテーナ | PRO | 合計 |
| 三重県 | 4 | 38 | 0 | 6 | 48 |
| 滋賀県 | 4 | 24 | 0 | 0 | 28 |
| 京都府 | 0 | 19 | 0 | 0 | 19 |
| 大阪府 | 0 | 8 | 0 | 0 | 8 |
| 兵庫県 | 0 | 30 | 0 | 0 | 30 |
| 奈良県 | 3 | 11 | 0 | 2 | 16 |
| 和歌山県 | 7 | 13 | 0 | 0 | 20 |
| 鳥取県 | 0 | 12 | 0 | 0 | 12 |
| 島根県 | 0 | 8 | 0 | 0 | 8 |
| 岡山県 | 2 | 27 | 0 | 0 | 29 |
| 広島県 | 1 | 21 | 0 | 0 | 22 |
| 山口県 | 1 | 15 | 0 | 0 | 16 |
| 徳島県 | 0 | 17 | 0 | 0 | 17 |
| 香川県 | 1 | 9 | 0 | 0 | 10 |
| 愛媛県 | 1 | 11 | 0 | 0 | 12 |
| 高知県 | 0 | 12 | 0 | 0 | 12 |
5. 九州地方
| 都道府県 | パワー | H&G | アテーナ | PRO | 合計 |
| 福岡県 | 8 | 18 | 0 | 0 | 26 |
| 佐賀県 | 3 | 13 | 0 | 0 | 16 |
| 長崎県 | 2 | 15 | 0 | 0 | 17 |
| 熊本県 | 2 | 38 | 0 | 0 | 40 |
| 大分県 | 1 | 14 | 0 | 0 | 15 |
| 宮崎県 | 1 | 20 | 0 | 0 | 21 |
| 鹿児島県 | 3 | 23 | 0 | 0 | 26 |
| 沖縄県 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
なぜ地方に強いのか|“小商圏特化モデル”
コメリ最大の特徴は、「人口1万人規模でも出店できる」点です。
店舗分布を見ると、新潟県83店舗、福島県57店舗、長野県55店舗など、地方で圧倒的な強さを持っています。これは「ハード&グリーン」という小型業態の存在が理由です。
この業態は
・小規模・低コスト運営
・生活インフラとして機能
という特徴を持ち、他社が出店しないエリアにも入り込めます。つまりコメリは「競争が激しい都市」ではなく、「競争が少ない地方」を制圧しているという構造です。
都市部で少ない理由|“戦わない戦略”
東京都(10店舗)、神奈川県(8店舗)と、人口の多い都市部では店舗数が少なめです。
これはコメリが
・都市型ホームセンターと競合しない
・賃料の高いエリアを避ける
・小商圏に集中する
という“戦わない戦略”を取っているためです。つまり、あえて都市部を主戦場にせず、「地方で勝ち切る」ことに特化しています。
店舗の役割はシンプルに分かれている
コメリの出店は、以下のように整理されています。
・小商圏 → ハード&グリーン(小型店)
・大商圏 → パワー(大型店)
・専門需要 → PRO(資材特化)
小商圏はハード&グリーンが担い、日用品や農業資材など生活に直結する商品を提供します。人口1万人規模でも成立するため、他社が出店しないエリアまでカバーできるのが強みです。
一方で、大きな商圏にはパワーが配置されます。売場面積が広く、品揃えも豊富で、周辺の小型店をまとめて支える“拠点”の役割を持っています。
さらに専門需要についてはPROが担います。建築資材や工具に特化し、職人や事業者向けの需要を取り込むことで、一般客とは別の収益軸を作っています。
このように、商圏の大きさと需要の種類によって店舗の役割が明確に分かれているのが特徴です。
大型店の役割|“パワー・PRO”で商圏を取り切る
パワーは商圏の中心にだけ配置されており、周囲のハード&グリーンを束ねる役割を持っています。いわば“母艦”のような存在です。資材や工具、農業用品、日用品をフルラインで揃えています。
PROはさらに限定的で、建築需要が見込めるエリアにのみ配置されています。数は少ないものの、客単価が高いため、収益面では非常に重要なポジションです。
コメリの戦略は“面ではなく網”
一般的なホームセンターは、大型店を点として配置し、広い商圏をカバーするモデルです。しかしコメリは逆で、小型店を網のように張り巡らせています。
その上で、必要な場所にだけ大型店と専門店を置くことで、効率的に市場を押さえています。この構造により、地方でも高いカバー率と安定した売上を両立しています。
まとめ|コメリは“地方ドミナント×船団戦略”の完成形
コメリの店舗分布を見ると、
・地方に圧倒的に多い
・都市部は少ない
・エリアごとに密集している
という特徴がはっきり現れています。
ハード&グリーンで生活圏を押さえ、パワーで広域需要を取り込み、PROで専門需要を確保する。この三層構造によって、他社には真似しにくい強固な出店網が作られています。
結果として、人口の多い都市ではなく、地方で圧倒的な存在感を持つチェーンへと成長しています。



















