日本の居酒屋チェーンは、かつては大箱の総合居酒屋が主流でしたが、近年は専門性や価格帯に応じた多様な業態へと変化しています。
中でも鳥貴族のような単一ブランドで拡大するチェーンと、魚民や白木屋のように複数ブランドを展開する企業が混在しているのが特徴です。
この記事では、国内主要な居酒屋チェーンを店舗数順に整理しつつ、さらに「グループ構造」「特徴」「出店傾向」まで含めて詳しく解説します。
居酒屋チェーン店舗数ランキング(日本)
まずは、日本国内の主な居酒屋チェーンを店舗数の多い順にまとめました。
| 順位 | チェーン名 | 店舗数(目安) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 鳥貴族 | 約690 | 全品均一価格の焼き鳥居酒屋 |
| 2位 | やきとり大吉 | 約500 | FC中心の老舗焼き鳥 |
| 3位 | や台ずし | 約370 | 寿司×居酒屋の郊外型 |
| 4位 | 串カツ田中 | 約350 | 串カツ特化で急成長 |
| 5位 | 魚民 | 約321 | 大手総合居酒屋 |
| 6位 | 八剣伝 | 約211 | 焼き鳥中心の中規模チェーン |
| 7位 | 養老乃瀧 | 約172 | 昭和系の老舗ブランド |
| 8位 | くいもの屋わん | 約162 | 和風個室型居酒屋 |
| 9位 | 目利きの銀次 | 約160 | 海鮮特化型 |
| 10位 | つぼ八 | 約150 | 北海道発祥の居酒屋 |
| 10位 | 赤から | 約150 | 鍋×居酒屋 |
| 12位 | 肉汁餃子のダンダダン | 約140 | 餃子特化で成長中 |
| 13位 | 磯丸水産 | 約124 | 海鮮居酒屋チェーン |
| 14位 | 庄や | 約120 | 老舗の海鮮系居酒屋 |
| 16位 | HUB | 約110 | 英国風パブ |
| 17位 | 杉玉 | 約100 | 寿司居酒屋(スシロー系) |
| 17位 | 三代目鳥メロ | 約100 | 焼き鳥が美味しい居酒屋 |
| 19位 | ミライザカ | 約95 | ワタミ系の主力 |
| 20位 | 山内農場 | 約71 | 九州の郷土料理や鶏料理が中心 |
| 21位 | 白木屋 | 約60 | 安価でメニューが豊富 |
| 21位 | 塚田農場 | 約60 | ブランド力重視の専門系 |
| 23位 | はなの舞 | 約55 | 海鮮系+大型店舗 |
| 24位 | 一軒め酒場 | 約51 | 低価格な大衆酒場チェーン |
日本国内の居酒屋チェーンは、鳥貴族が単一ブランドで圧倒的な店舗数を持っています。
一方で、魚民・白木屋・笑笑といった複数のブランドが上位に入っていることが分かります。これらはすべて同じ企業(株式会社モンテローザ)によって運営されており、居酒屋業界特有の「ブランド分散型戦略」を象徴しています。
また、焼き鳥系が非常に強いのも特徴です。「鳥貴族」「やきとり大吉」「八剣伝」など、低コストで出店しやすい業態は店舗数を伸ばしやすく、結果としてランキング上位に集中しています。
居酒屋チェーンの「グループ構造」
居酒屋チェーンは、同一グループが複数ブランドを展開しているケースが非常に多いです。
代表的な例が以下です。
モンテローザグループ
魚民、白木屋、笑笑、目利きの銀次、山内農場、白木屋は、いずれもモンテローザが展開するブランドです。
この企業は一つのブランドを大きくするのではなく、複数のブランドを展開することで出店エリアや客層に合わせた運営を行っているのが特徴です。そのため、個別の店舗数では鳥貴族に及ばないものの、グループ全体では非常に大きな規模を持っています。
ワタミグループ
ワタミグループは、かつては「居食屋 和民」として多くの店舗を展開していましたが、「ミライザカ」や「鳥メロ」などの新業態への転換が進み、ほぼ姿を消しています。
居酒屋チェーンの特徴とトレンド
現在の居酒屋チェーン市場は、大きく3つの流れに分かれています。
まず1つ目は、低価格・均一価格モデルの拡大です。
「鳥貴族」に代表されるように、価格をシンプルにすることで集客力を高める戦略が成功しています。特に若年層や学生に支持されやすく、安定した需要があります。
2つ目は、専門特化型の成長です。
「串カツ田中」「肉汁餃子のダンダダン」など、1ジャンルに特化した店舗は、ブランドの分かりやすさと差別化のしやすさから急成長しています。
3つ目は、総合居酒屋の再編・縮小です。
かつて主流だった「何でもある居酒屋」は、個性が弱くなりがちで、専門店に顧客を奪われています。そのため大手はブランド統合や業態転換を進めています。
都道府県別|居酒屋チェーン店舗数ランキング
※飲食店分布・人口・商業規模ベースの推定
| 順位 | 都道府県 | 店舗数(目安) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 東京都 | 約2,500 | 圧倒的集中エリア |
| 2位 | 大阪府 | 約1,300 | 繁華街密集型 |
| 3位 | 神奈川県 | 約1,000 | 都市+郊外 |
| 4位 | 愛知県 | 約800 | バランス型 |
| 5位 | 福岡県 | 約700 | 九州の中心 |
| 6位 | 埼玉県 | 約600 | 郊外需要強い |
| 7位 | 千葉県 | 約550 | ベッドタウン型 |
| 8位 | 北海道 | 約500 | 札幌集中 |
| 9位 | 兵庫県 | 約500 | 神戸・姫路中心 |
| 10位 | 京都府 | 約400 | 観光+学生需要 |
居酒屋チェーンの出店は、他の飲食業態以上に人口より「夜の需要」に依存します。
そのため、東京・大阪のような大都市が圧倒的に強いのはもちろんですが、
福岡や札幌のような「繁華街が集中している都市」も上位に入ります。
また、埼玉・千葉などのベッドタウンでは、駅前型の中規模居酒屋が増える傾向があり、
「都心型」「郊外型」で出店戦略が明確に分かれるのも特徴です。
居酒屋業界の特徴と今後の動向
居酒屋業界は、コロナ禍をきっかけに大きく変化しました。従来の大人数向け店舗から、小規模・低価格・専門性の高い業態へとシフトが進んでいます。
また、磯丸水産のように昼夜問わず営業するスタイルや、一軒め酒場のように低価格で短時間利用を想定した業態も増えており、利用シーンの多様化が進んでいます。
さらに、焼き鳥や鶏料理など特定ジャンルに特化したチェーンも増加しており、「何でもある居酒屋」から「目的型居酒屋」へと変化しています。
今後は、価格や立地だけでなく、コンセプトや体験の明確さがより重要になっていくと考えられます。
まとめ|居酒屋チェーン店舗数ランキング
居酒屋チェーンは、鳥貴族のような単一ブランド型と、モンテローザのような多ブランド型が共存する独特の構造を持っています。店舗数ランキングを見ることで、業界の勢力図だけでなく、企業ごとの戦略の違いも見えてきます。
また、近年は専門性や価格帯に応じた多様なチェーンが登場しており、従来の総合居酒屋とは異なる方向へと進化しています。今後も、利用シーンに応じた柔軟な業態が求められる中で、各チェーンの個性がより重要になっていくでしょう